ここから数回に分けて各医師国家試験予備校のそれぞれの特徴や、長所・短所について書いていきます。
この記事ではTECOMについて触れ、MECとmedu4、Q-Assistは別記事に書きます。
MACについては私も含め学内にも受講者がいなかったため、記事にしません。ご了承ください。
MECについての記事。
medu4の基本的な話(受講方法など)の記事。
Q-Assistについての記事。
はじめに
各予備校の話に入る前に予備校選びについて書いていきます。
まず、予備校ごとに得意不得意はあるものの、教え方に大きな差はありません。
どの予備校を選んだとしても不利になるということはないです。
なので講師との相性が重要になってきます。
ポリクリが始まった頃(4~5年)から2年以上講義を見続けることになるので、もしもその講師の口調や教え方などが生理的に合わなかったら、ただの苦痛です。
そうならないためにも各予備校はサンプル動画を出していますので、選ぶ前に必ずサンプル動画を視聴して講師との相性をチェックしましょう。
TECOM
国家試験対策のカリスマこと三苫先生でおなじみの予備校。
30年以上の歴史がある業界の老舗です。
基本的にほとんどの講座は三苫先生が担当します。三苫先生と相性が悪ければ選ばない方がいいでしょう。
それではそれぞれの講義別に説明していきます。
SELECT
ポリクリ開始時期(4年生~5年生)から6年前期まで、お世話になるいわゆる前期講座。
メジャー科、産婦人科、小児科、マイナー科を臓器別に講義します。
マイナー科の麻酔科、放射線科のみ三苫先生ではないです。
「覚えない!考える!」が口癖の三苫先生が病態生理を図解して、受講者がテキストに書き込んでいくスタイル。
以前は真っ白なノートに三苫先生の板書をひたすら書き込んでいくというスタイルだったそうですが、数年前から病態生理のイラストのみ書き込み、細かい一般的知識などはあらかじめノートに印刷されるようになりました。
従ってテキストに関してはTECOMとMECではほとんど差がないです。
講義時間は1コマ30分。ただし15分くらいのコマや40分以上のコマもあったりとややばらつきはあります。
基本的にコマの前半に病態生理の講義とノート埋め作業、後半に問題演習という内容です。
問題演習の量が非常に多く、国試に必要な知識の網羅度は高いです。
ただ三苫先生が早口な上口頭でしか言わない知識も多いので1回の受講で板書を完璧にするのは難しいです。
2週できない人は他のテコムユーザーのノートを見せてもらったりして書き漏らしがないか確かめた方がいいです。
ちなみに、時々「前半の講義のみ聞いて問題演習は飛ばす」方がいますが、個人的にはやめておいた方がいいです。
理由は単純にあとで2周目をしようとしても終わらないから。
1コマは短いといってもかなりの数があるので、予習してなくても問題演習まで聞くのをおすすめします。分からなくても臨床問題のキーワードの拾い方や、異常値に対する感覚が段々と身についてくるはずです。
私の場合はSELECTをとにかく1週することを目標にしていたので予習はほとんどせずに問題演習まですべて聞いていました。
基本的にはSELECTだけで十分ですが、担当が三苫先生ではない麻酔科と放射線科はつまらなかったので麻酔科はmedu4の講義を受講しました。放射線科は年に数問しか出ないのでQBの1週目問題だけ解きました。
病態生理講座
2018年よりTECOMの講師になった瘧師先生の講座。
SELECTに入る準備という位置づけですが、既にSELECTを半分以上受講していたので私は受講しませんでした。
受講した人に聞いたところ、
苦手意識がある科目には効果あり。5年生の序盤で見ると実習で役に立つかも。
扱う問題数が少ないが、逆に1コマ辺りの負担が少なく取り組みやすい。問題の解説が薄いので、必要ならQBなどの過去問の解説を参考にすると良い。
所々に語呂合わせを挟んでくるが、特に腎臓、泌尿器科の語呂は役に立った。
ということでした。
SHIKETAI
TARGETと並ぶ後期講座のひとつ。6年時の10月頃に開講します。担当は三苫先生。
「臨床問題の解き方」を教えるというのがこの講座の目的で、SELECTを復習しつつも違った視点から問題を解いていきます。
後半は一般問題対策や必修問題対策(倫理問題、禁忌、救急)を総ざらいします。
必修問題対策は後述の必修の罠を圧縮したような感じです。
TARGET
時期としてはSHIKETAIの後に開講する後期講座の目玉。開講は6年の11月。こちらも担当は三苫先生です。
20コマ(1コマ1時間)で臓器別に国試頻出のポイントをまとめていきます。
SELECTの知識を圧縮して曰く、「予想ではなく絶対出る」ポイントのみに絞るため、苦手な科は何週もするべき。
サマライズの膨大なコマ数に比べるとずっと少ないため周回するのに非常に向いています。
各科の総論的内容はスルーしてくるのでそこだけは自力で頑張るしかないですが、SHIKETAIとTARGETのこなせば臨床問題の最低限の土台は築けます。
問題集としても使えるようにしてあるそうですが、解説の内容はあまり充実していません。90回台の古い問題が校正されずに載っているのもいかがなものかと・・・。
テキストは解説部分も問題部分もびっしり印刷しているので板書の書きこみを考慮していない構成になっているのもいまいちなポイントです。
一応予想もしていますがあまり当たりませんでした。
回数別SELECT
毎年12月頃に開講する、直前の国家試験の問題を解説しながら予想していく講座です。
TARGET同様予想に関してはあまり期待しない方がいいです。
当然12月の時点では直近の過去問は解いているはずなので予習は不要です。解いていない人はこの講座を見る前には必ず一通り解いておきましょう。
感想としては正直微妙でした。内容はTARGETを更に圧縮したものでかなり薄く(そもそもTARGETが国試出題範囲を圧縮している講座ということもあり)、優先順位は低いです。
逆にTARGETを短時間で復習する道具として使うことは可能です。
解説ではTARGETのテキストを引っ張ってくることもあるのでTARGET受講は必須です。
一応5年生の時にも12月に見ることが出来ますが、前述のようにTARGET前提の講義なので5年生で見る必要はほとんどないです。
テキストには余白はほとんどないので、私の場合はTARGETのテキストに必要な板書を写していました。
公衆衛生
公衆衛生についてはこちらの公衆衛生対策の記事も参照してください。
2018年から病態生理講座の瘧師先生が担当。
私はmedu4の公衆衛生を受講した後、TECOMの公衆衛生を受講しました。
結論から言うと、基礎がしっかりしていると非常に効果があるが、CBTの勉強から公衆衛生に苦手意識のある人には少し難しい講座という印象でした。
「1から10まで全て教える」という感じの講義だったため公衆衛生が苦手な人に聞くと重要なポイントが見えづらく、わかりにくいと言っていました。
そのような方にはmedu4の「あたらしい公衆衛生」をおすすめします。
国試に必要な最低限度の知識を整理して教えてくれるので、前述の苦手な人にも勧めたら、ずっとわかりやすいと言っていました。
私は受講していませんがMECやQ-Assistの公衆衛生も評判はいいです。
逆にmedu4を終わらせて更に公衆衛生を頑張りたい人や、公衆衛生が好きな人には時間の余裕があればTECOMを見てもいいでしょう。
瘧師先生が法学部卒ということもあり、medu4では扱わない法律の細かい話などマニアックな知識まで教えてくれます。
公衆衛生のテキストには過去10年分以上の問題のほぼすべてを載せているそうですが、解説は一言かあるいは○×のみとかなり弱く、問題演習はmedu4か公衆衛生QBに頼らないといけないです。
必修の罠
必修問題で陥りやすいポイントを解説する講座。担当は三苫先生。
問題演習がメインで凄まじく分厚い問題集を1コマ100問近くの勢いでひたすら解説していきます。
私は5年生の12月に受講しましたが、当時は必修とそれ以外(一般臨床)の違いもほとんどわからない状態だったので、あまりタメになったとはいいがたい印象でした。
かといって6年時まで受講しないでいるとしてもなかなかに分量が多く、扱いに困る講座です。
症候別プライマリ・ケア講座
5年生の秋ごろから開講する講義です。担当は三苫先生ではなく田中先生という方。
テキストはなく、問題集のみTECOMのページから自力でダウンロードして印刷する必要があります。
様々な診療科の疾患を症候別(頭痛、めまい、失神)に扱う講義で、「症候学」を学べる珍しい講義です。
1症候ごとに前半はスライドを用いた症候学の講義、後半は問題解説というスタイルです。
ただ1コマあたり1時間~1時間半くらいある上、1コマ全て講義で問題解説無しということもあったりで結構辛いです。
おまけに講義で使うスライドは症候別の鑑別診断がまとめてあったりしてかなり便利なものなのですが、配布はされておらず、欲しければスクリーンショットを取るしかないというなんとも不親切な仕様になっています。
講座名に「プライマリ・ケア」とあり「救急」の講座だと勘違いしやすいのですが「症候学」の講義です。
普段のSELECTとは違った視点で考えられて、更に臨床での実践的な話も聞けるので、貴重な講義ではありますが20コマ以上あるので視聴したい方はお早めに。
私は6年生になる直前に受講しました。
ちなみに国試終了後にも登録すれば無料で受講できるそうです。
必修予想講座
担当は三苫先生ではありません。
私は受講していないため、受講した人の感想です。
本番より1割くらい難しい問題とのこと。過去問を改変した問題やオリジナル問題が多い。結構解説が細かいので、その内容を全部覚えることは難しいし、しなくていいと思う。模試の感覚で解いて間違えたところを復習すれば良いのでは。メックや他の教材をメインで使っていて時間が有り余ってないなら、無理して取り組まなくても良いかと。
とのことでした。
必修対策の基本的な記事はこちら、各予備校の必修講座についてはこちらの記事を参照ください。
ラストV
ラストVに関してはこちらの直前講座の選び方も参照してください。
国試5日前から配信される、直前講座です。塙先生、李先生、瘧師先生が担当。
2019年以前は国試前日に5時間くらいかけて行っていたため不評だったようですが、今回より5日前からメジャー科→産婦人科・小児科→マイナー科→公衆衛生の順に開講するようにしたため復習がしやすくなりました。
内容は一般的な知識をテキストに沿って読み上げるのみで、問題解説はありません。
直前の一般問題対策といったところです。
100回以前の問題に出てきた知識などかなり細かいところまで説明するので、オーバーワーク感は否めません。
正直これを受けるくらいならmedu4の究極MAPで事足りるような気がします。
私は究極MAPに載ってない事項で、重要そうだと(独断と偏見で)判断した知識を究極MAPのテキストに書き加えていきました。
おすすめは究極MAP+ラストVで、究極MAP>ラストVといった印象。
ラストVを優先する理由は特にありません。
ただ、産婦人科・小児科・マイナー科・公衆衛生を担当する瘧師先生の講義はゴロ合わせや覚え方を沢山教えてくれるので直前の詰め込みにかなり役立ちます。
上記の分野が苦手な人は受講するのもありかも。
以上、長々と説明しましたが、TECOMの各講座のレビューです。
他の予備校のレビューも後日記事にします。
Twitter:@yutoridesuga113
フォローお願いします!
コメント
[…] 予備校選びについてとTECOMについてはこちら。 […]
[…] 予備校選び一般の話とTECOMについてはこちら。 […]
[…] 予備校選び一般の話とTECOMについてはこちら。 […]
[…] 予備校選び全般とTECOMについてはこちら。 […]
[…] TECOM: 2018年から病態生理講座の瘧師先生が担当。 […]
[…] TECOMの紹介記事はこちら。 […]
[…] 予備校選び全般とTECOM […]
[…] 予備校選び全般とTECOM […]
[…] 予備校選び全般とTECOM […]